米政府とハイテク企業らが提携、学術界独自の次世代AIモデル開発を後押し

masapoco
投稿日
2024年1月25日 18:35
human brain digital

米国国立科学財団(U.S. National Science Foundation)は、学術機関が独自のAIモデルを構築するためのコンピューティング・パワーやデータなどを確保できるよう、大手ハイテク企業と提携した事を発表した。

USNSFは、声明の中で、新たに研究開発を推進するために民間部門と公的部門からリソースを集める試験的プロジェクト、全米人工知能研究リソース(NAIRR)を立ち上げた事を発表し、米国を拠点とする AI 研究者に AI モデル、コンピューティング能力、データセット、ソフトウェア、トレーニングへのアクセスを提供すると述べている。このプロジェクトには、10の連邦政府機関と20以上の企業や団体が支援することになっている。

NSF以外にNAIRRに取り組んでいる政府機関は、国防高等研究計画局(DARPA)、NASA、国立衛生研究所、国立標準技術研究所、海洋大気庁、農務省、国防総省、エネルギー省、退役軍人省、米国特許商標庁である。政府は、Amazon Web Services、Anthropic、AMD、EleutherAI、Google、Hugging Face、IBM、Intel、Meta、Microsoft、NVIDIA、OpenAI、Palantirを含む15の民間パートナーと協力している。

Google、NVIDIA、OpenAI、Amazonなどの大手企業は、このプログラムに参加する研究者に、自社のツール、ハードウェア、データセットの一部を提供することを約束した。研究者はNAIRRのWebサイトからパイロット版へのアクセスを申請することができ、NAIRRは今年の春に研究提案の第2回募集を開始する予定である。アクセスが認められれば、研究者はMicrosoft AzureやAmazon Bedrockのような、通常は研究費で賄わなければならない高価で処理能力の高いサービスを利用することができる。エネルギー省や国防高等研究計画局(DARPA)などの政府機関もリソースを共有することに同意し、Delta、Frontier、Summit Clusterなどのスーパーコンピューターへのアクセスを研究者に提供する。

GPUメーカーのNVIDIAは、パイロットプログラムをサポートするために、3000万ドルのコンピュート・インフラを提供することを約束しており、その中には、必要なソフトウェア・ツールと統合された2400万ドルのNVIDIA DGX Cloudコンピュートと、NAIRRパイロットユーザーを支援する技術専門家のサポートも含まれている。

NSFのOffice of Advanced CyberinfrastructureのディレクターであるKatie Antypas氏は、NAIRRは、AIを使って異常気象を研究するために、米国海洋大気庁やNASAからデータセットを入手するようなことをする学者を支援すると述べた。

「ひとつの例として、大規模なモデルの検証と検証を調査したいAI研究者がいるかもしれない。その研究者は、他の方法ではアクセスできないような大規模なコンピューティング・リソースを利用できるようになります」と述べている。

NAIRRは、学術界が高額なコストを理由にAI研究の面で産業界に後れを取っている現状を打破することをその目的の1つとしている。

NSFのSethuraman Panchanathan所長は声明の中で、「AIの研究開発をリードし続けるために、我々はAIイノベーションを推進し、教育の機会を強化する機会を全米に設けなければならない」と、述べている。

パイロット・プロジェクトは、オープンAI研究、セキュリティとプライバシー、ソフトウェア・ツール、トレーニングとアウトリーチの4つの分野に大別される。NSFは現在、モデルをより信頼できる責任あるものにするための技術開発を支援することに関心を寄せており、将来的には気候変動への取り組みや医療、教育の改善にAIを活用することにも関心を広げていく予定だ。

「NAIRRは)米国におけるAI研究のあり方や参加者を変革し、AIによる発見を私たち全員のために解き放つでしょう。AIの安全保障、AIの安全性、AIの雇用創出の未来は、すべて社会の隅々からのアイデアに依存しています」とPanchanathan氏は記者会見で述べた。

NAIRRの試験運用は、まず4つの分野に重点を置く。多様なAIリソースへのアクセスを可能にすること、セキュリティとプライバシーを必要とするAI研究を可能にすること、AIプラットフォーム間の相互運用性を促進・発展させること、AIツールを使用するコミュニティを教育・訓練することである。NSFは声明の中で、NAIRRの最初のプロジェクトは、ヘルスケアと環境持続可能性におけるAIの利用に集中していると述べている。


Sources



この記事が面白かったら是非シェアをお願いします!


  • Journal App iOS 17
    次の記事

    iOS 17.4及びiPadOS 17.4開発者向けベータ1リリース:EU圏内でのサイドローディングを許可へ

    2024年1月26日 6:36
  • 前の記事

    株式会社ポケモン、パルワールドに関して“パクり”調査を行う可能性を示唆

    2024年1月25日 16:19
    palworld 02

スポンサーリンク


この記事を書いた人
masapoco

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


おすすめ記事

  • openai

    OpenAI、15秒の音声サンプルから感情豊かで自然な音声を合成できる「Voice Engine」を発表

  • Babylon 7

    Microsoft、Webゲーム用のグローバルイルミネーションサポートを追加したBabylon.js 7.0を公開

  • a04c35e8e555c1cc7ae1d6a5f3159856

    MicrosoftとOpenAI、1000億ドル以上をかけて超人的AI開発のためのスーパーコンピューター「Stargate」を開発する計画

  • Sam Altman TechCrunch SF 2019 Day 2 Oct 3 cropped cropped

    ベンチャーキャピタリスト、OpenAIのSam Altman氏を“誇大妄想的”と非難

  • Landmark IBM error correction paper published on the cover of Nature 75b1203a62

    IBM、画期的なエラー訂正技術を考案、実用的な量子コンピュータに大きく近付く

今読まれている記事