ロシアによるウクライナ侵攻に対する制裁として、西側諸国の先進的技術の輸出が規制されているが、ロシアはこの制裁をかいくぐり、多くの先進的な商品を輸入することに成功しており、制裁プロセスが破綻しているか、少なくとも効果が非常に限定的である事が明らかになった。Bloombergに公開されたロシア税関の機密データによると、同国は昨年、17億ドル以上の先進的なアメリカとヨーロッパのチップを輸入している。

同データによると、2023年1～9月の輸入半導体・集積回路の半数以上は、Intel、AMD、Analog Devices、Infineon Technologies、STMicroelectronics、NXPSemiconductorsといったブランドであった。このデータには、どの企業や団体がロシアに技術を輸出したかは示されていない。また、出発地や製造日など、その他の識別情報も欠けていた。

ロシアがチップを入手できたことは、グローバルな制裁プロセスの非効率性を示すものだ。これは、特に複数の再販業者を経由するチップのグローバル・サプライチェーンの複雑さを物語っている。

また、これらのチップの多くは、中国、トルコ、アラブ首長国連邦などの第三国からの再輸出を通じてロシアに流入した。米国とEUは、このような先端品の再輸出を阻止しようとしているが、失敗に終わっている。

Bloombergの取材に答えた匿名のチップメーカーは、制裁を遵守し、遵守を確実にするための厳格なプロセスを持っていると主張している。Bloombergは、これらの企業が国際法に違反したという指摘はないと指摘している。

Bloombergは、昨年後半に関税の値が若干下がったのは、アメリカ、EU、そして7カ国グループによる対ロシア制裁の取り組みが成功したことを示していると指摘している。それでもロシアは、西側諸国による制裁や輸出規制を逃れることに長けている。

昨年末、ロシアは制裁と輸出規制を乗り越えて、ミサイル生産を戦前のレベル以上に拡大することに成功した。匿名のアメリカ政府関係者がNew York Times紙に語ったところによると、ロシアは諜報機関や国防省を通じて密輸業者の不正なネットワークを構築し、重要な部品を他国に輸出している。

Source

• Bloomberg: Most of Russia’s War Chips Are Made by US and European Companies
• The New York Times: Russia Overcomes Sanctions to Expand Missile Production, Officials Say