Intel、オーバークロックなしで6.2GHzを実現した史上最速のプロセッサー「Core i9-14900KS」を発売

masapoco
投稿日
2024年3月15日 9:16
intel core i9 14900KS slides 01

Intelは本日、フラッグシップ・プロセッサーの「Core i9-14900KS」を発表し、同社の保持するこれまでの最速記録を更新した。これは、昨年発売され、6GHzの壁を破った初のデスクトップ・プロセッサーである「Core i9-13900KS」よりも200MHzクロック周波数が高い、最大6.2GHzのP-Coreターボ・クロック速度を持つ特別仕様のプロセッサーで、少なくとも公称周波数では世界最速のデスクトップ・プロセッサーとなる。

Intel Core i9-14900KS:6.2GHzのPコア・ターボ

Intel Core i9-14900KSは、Intel7プロセスを採用したRaptor Lakeアーキテクチャーに基づくチップだ。フラッグシップモデルのCore i9-14900Kの性能をベースにしたCore i9-14900KSは、Core i9-14900KのPコアターボクロックより200MHz高い最大6.2GHzのPコアターボクロックを実現し、Raptor Lake-Rファミリーの恐らく最後を飾る物となるだろう。また、実はE-Coreターボクロックも4.5GHzと100MHz向上している。それ以外は、PコアとEコアのクロック周波数はベースと変わらずだ。

変わったのはクロック周波数のみで、Core i9-14900KSもCore i9-14900Kと同じコア/スレッド数となる。これは8P+16Eのダイで、最大32スレッドをサポートする。36MBのL3キャッシュやIntel UHD 770統合グラフィックスなど、他のすべても同じだ。

KSプロセッサーの重要な利点は、購入希望者がこの非常に高い6.2GHzのPコア・ターボクロック周波数を達成するためにプロセッサーをオーバークロックする必要がないことである。これは、少なくともクロック周波数のヘッドルームという点では、Intelが提供するシリコンの中で最高のものだ。Core i9-14900Kは、クロック周波数の点で、現在の第14世代Coreシリーズ・スタックの上に位置するが、小売店で発売された最速のx86プロセッサーでもある。

しかし、これらの驚異的なクロック周波数の実現は、膨大な電力消費を伴う物だ。Intelは、Core i9-14900KSの基本TDPを150Wとし、Core i9-14900Kと比べて25W増加させた。一方、出荷時のPL1/PL2ターボ電力制限は253Wで、前回のi9-13900KSと同様に、「エクストリーム」電力プロファイルも提供しており、これらの制限は320Wまで引き上げられる。

Intelは、Core i9-14900KSの発売にあたり、サンプル出荷を行なっていないため、その代わりに、社内テストから予想されるパフォーマンス数値を提示している。最新のCore i9-14900KSを従来のKS SKUであるCore i9-13900KSとゲーム性能で比較すると、Intelは特定のタイトルでの緩やかな向上を明かしており、『Starfield』では3%の性能向上、『Metro Exodus』では最大15%の性能向上が見られた。興味深いことに、Intelのスライドデッキでは、現行のCore i9-14900Kとの性能比較は行われていない。それでも、Pコアのターボ周波数の200MHz増が実際の実性能にどのような影響を及ぼすのか、確認することは有益だっただろう。また、Intelがアプリケーション最適化ソフトウェアを使ってこれらの向上を後押ししていることも注目に値する。Intel自身が主張しているように、『Metro Exodus』の場合、フレームレート性能は実際に約11%向上している。

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コンピューティング性能では、IntelはCore i9-14900KSをAMDのRyzen 9 7950Xと直接比較し、さまざまなワークロードとアプリケーションで性能向上を示している。UL Procyon Officeベンチマークでは、IntelはRyzen 9 7950Xに対して5%の向上を示している。一方、CineBench 2024のシングル・スレッド・テストでは16%の向上を主張しており、コアのクロック速度が6.2GHzであることから、シングル・スレッドのワークロードで最大の性能向上が見られると思われる。

マザーボードの対応状況を見ると、Intel Core i9-14900KSはZ690とZ790の両チップセットに対応し、DDR5とDDR4の両メモリタイプにも対応している。前世代のi9-13900KSの場合と同様、これは主に電力要件によるもので、KSチップは多くの電力を必要とし、非エンスージアスト向けボードは、よりミドルレンジのチップとの組み合わせが期待されるため、それを提供する製品は限られる。KSチップの電力要件が増加しているため、Z690およびZ790シリーズのマザーボードは、より大きく、より高性能な電力供給装置と、この種のプロセッサーにより最適な電力供給用ヒートシンクを備えており、より適している。

Intel Core i9-14900KSは、希望小売価格は689ドルとなっている。 価格としては、ドルベースで判明した分だが、この価格は、以前のCore i9-13900KSプロセッサーの発売時よりも10ドル安くなっている。日本国内での価格は、124,980円と、円安を加味してもかなり高額だ。残念ながら、以前のKSプロセッサーと同様、IntelはCore i9-14900KSプロセッサーを何台製造するつもりなのかを明らかにしていないが、しかし、Core i9-13900KSは1年経った今でも一部では入手可能だ。



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