中国、世界初の原子力コンテナ船の建造計画を発表

masapoco
投稿日
2023年12月28日 9:47
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中国は “世界初”となる原子力コンテナ船の計画を発表した。

上海で開催されたMarintec China 2023の展示会で江南造船所が発表した「KUN-24AP」は、標準コンテナ2万4000個の積載能力を誇り、これまで建造されたコンテナ船の中で最大となる予定だ。

革新的な動力源溶融塩炉

この船の特筆すべき特徴は、その推進システムにある。それは、中国に豊富に存在し、費用対効果の高い放射性金属であるトリウムを利用した、最先端の第4世代溶融塩炉を利用していることだ。これは従来のウラン原子炉とは一線を画すもので、安全性と効率性が向上している。冷却に大量の水を必要とするウラン原子炉とは異なり、トリウムベースの原子炉は高温・低圧で運転されるため、メルトダウンのリスクが低減される。

軍事利用とプロジェクトを取り巻く秘密主義

この技術が軍事利用される可能性があるかどうかは未公表のままだが、今年初めに中国初のトリウムを動力源とする原子炉が公開されたことで、さまざまな憶測が飛び交った。ゴビ砂漠にある原子炉は、先進的な原子力技術を開発する中国の野心的な取り組みの一環であり、科学者たちは海洋利用を含むさまざまな用途への適応性を主張している。

設計はすでにDNV船級協会による国際認証を受けており、世界の潜在的な買い手に自信を与えている。江南造船所のイニシアチブは、Maritime Chinaが強調しているように、海運業界における気候変動と省エネルギーへの関心の高まりと一致している:提案されている超大型原子力コンテナ船の設計は、この種の船舶の運航サイクルにおいて、まさに「ゼロ・エミッション」を達成するものである。

中国が原子力コンテナ船を開発したのは初めてではないが、その設計は、日本、米国、韓国、ヨーロッパの造船会社による過去の試みを凌ぐものである。中国の造船産業は急速に発展しており、今年の世界の新造船受注の60%以上を占めている。

トリウムベースの溶融塩炉

中国が独自に開発したKUN-24APのトリウムベース溶融塩炉は、米国の「NS Savannah」のようなこれまでの原子力貨物船を凌ぐ革新性を導入していると主張している。この原子炉の設計は、より低い回路圧力、強化された安全機能、事故時に迅速に停止できる能力などの利点を提供し、潜在的なリスクを最小限に抑える。

注目すべき設計面のひとつは、燃料コストや燃料補給の課題に関する懸念に対処するための、交換可能なコンポーネントである原子力「バッテリー」である。しかし、媒体としてのフッ素化塩の使用や潜在的な環境への影響など、導入成功のためには課題に対処しなければならない。

原子力空母の試験艦?

KUN-24APの公開は、軍事ファンの間で議論を呼び起こし、原子力軍艦の先駆けとしての役割を担う可能性を推測する声もある。しかし、トリウムベースの溶融塩原子炉のメンテナンス間隔は、軍事的応用に課題をもたらし、この設計を戦闘艦船に適合させることの実現可能性に疑問を投げかけている。

中国のKUN-24APの発表は、持続可能な海運への先駆的な一歩であろう。これは、海運業界における排出量削減への世界的な取り組みと一致する。だが同時にKUN-24APの軍事利用については、さまざまな問題や憶測が飛び交っている事も確かだ。


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